2013年3月SVIFと九州大学学生との合同討論会ーアニス・ウッズマン氏

「SVIFと九州大学学生との合同討論会」報告

題名:「日本企業への提言」

講師:AnisUzzaman(アニス・ウッザマン)、Fenox Venture Capital, General Partner & CEO

日時:2013年3月5日

AnisUzzamanさんの略歴

東京工業大学電気情報工学卒業。オクラホマ州立大学電気工学にて修士、東京都立大学情報通信システム工学にて博士を取得。これまでに30篇以上の学術論文を執筆し、100件以上の国際学会、ワークショップ、セミナーに参加。

現在はシリコンバレーにてフェノックス・ベンチャー・キャピタルを設立。主に初期投資とファイナルラウンドを専門とし、全世界のインターネット、ソフトウェア開発、リテイル関連をメインとした投資を行っている。ユニークなモデルとグロ-バルなコネクションを使い、新時代のベンチャーキャピタルを運営。

Facebookページ: http://www.facebook.com/anis.uzzaman.37

講演内容

   日本企業/経済の減速

o      かつて世界で大きく活躍した企業の多くは、戦後誕生した企業ばかりで新しい企業が見当たらず、主なグローバル企業も最近は元気がないのが現状

  1. 日米を比較すると、米国のトップ30企業の3割が1950年以降の設立なのに対し、日本の該当企業は全体の3%に過ぎない
  2. 更に、世界トップ企業500のなかで日本企業が占める割合は、1995年から2012年にかけて141社から68社まで減少
  3. 日本発グローバル企業の代表であるSharpも、近年は韓国企業に負けてしまっているなど、Made in Japanブランドのイノベーション衰退が顕著

o      衰退の原因

  1. 研究開発投資において、米国や韓国と比較すると、日本では時代の変化を意識した集中と選択が出来ていない
  2. 日本企業は国内市場を対象とした製品開発に集中しており、海外志向が欠ける
  3. 現在は、イノベーションのマーケットリーダーが海外プレーヤーに取って代わられているという現実

   日本企業への提言:日本を元気にするために必要なこと

o      提言1:欧米企業の優れたビジネス手法の導入

  1. 米国が研究開発にかける費用は世界一だが、一方でその効率は年々減少しており、近年では合併吸収による企業のイノベーション導入が増えつつある
  2. シリコンバレーの秘密は、テクノロジーを生み出すエコシステムが存在すること;

·         インキュベーターやアクセラレーション室など、充実したスタートアップ支援体制、多くの大手企業によるM&A(エグジット)機会が、新技術/スタートアップの誕生を促進

·         1960年代から現在に至るまで、時代に沿ったイノベーションが常に起きているのがシリコンバレーであり、オバマ大統領もシリコンバレーの重要性を認識

·         シリコンバレーのスペシャリスト(ベンチャーキャピタル、アクセラレータ(Y-CombinatorTechstars500 startupsなど)、スーパーエンジェルなど)の存在が、シリコンバレーを支えている

o      提言2:VCとの連携

  1. ベンチャーキャピタルとは、出資者(LP)から得た資金を、複数の投資先へ分配し運用するビジネス
  2. 出資者の利点は、VCのネットワークを通じて最新の技術同行に関する情報を入手できること、および投資先企業との直接的な関係構築における支援を得られること
  3. スタートアップは、資金調達以外に有力企業とのパートナーシップ関係におけるサポートや海外拠点設立、マーケティング、人材雇用における支援を、VCから得ることができる

o      提言3:海外の成功企業から学ぶ

      1. GoogleAppleのイノベーション創出例

·         Google:イノベーションを継続的に生み出す社内環境として、20%ルール(勤務時間の20%を自分の好きなことに利用できる社内制度)を実施

·         Apple:イノベーションを加速させるためのM&A戦略を展開(音声認識技術、顔認識技術、指紋認識技術、etc

      1. 中国、イスラエル企業の米国進出

·         中国の先進企業の多くは米国を拠点に展開し、株式を上場

·         イスラエル企業も米国で積極的に資金調達

·         NASDAQに上場する中国企業は158社、イスラエル企業は58社なのに対し、日本は17社にすぎないという事実

o      提言4:国外マーケティングの改善

  1. Walmartの例:海外の売上高が年々増加、2011年度は売上高全体の26%を占めたが、その秘訣は、現地企業との合弁またはM&Aを利用した、地域市場の特性に合わせた海外展開戦略
  2. サムソンの例:若手社員を1年間海外に派遣し、海外地域市場の専門家を育成する“海外地域専門家制度”を1990年から実施、現地ニーズに合った製品を迅速に開発、展開
  3. リーンスタートアップモデル:製品開発過程の早い段階で製品を市場リリースし、顧客ニーズを確認しながら効率的に製品を改良していくというコンセプトモデル(e.g. instagramの製品開発)
  4. 日本企業は海外マーケティングが弱い、海外の事例を参考にすべき

o      提言5:多国籍マネージメントチームの構築

      1. 日産のカルロスゴーン氏の経営方針:「明確な目標」と「目標のための実行力」を掲げて、国内コストを大幅に削減し、生産拠点を海外へ移すグローバル化を推進することで、経営立て直しに成功

o      提言6:企業文化の変革

      1. 年功序列、固定給与/賞与、終身雇用制度などの社内制度を変革し、個人のパフォーマンスを重視する制度を導入することで企業内の競争力強化、イノベーションの創出を目指すべき(e.g. 野村証券の特定社員制度)

o      提言7:進行市場への進出

      1. アジアや南米地域は近年高い成長率を果たしている、特に親日性が高く、潜在性のあるインドネシア、ベトナム、マレーシアなどにもっと注目するべき

§  東欧の事業環境も近年大きく改善され、日本企業にとって海外進出のチャンスの場といえる

o      提言8:日本政府の関与

      1. 日本が抱える4つの問題:1)大手企業によるスタートアップのM&Aの少なさ、2)スタートアップに実績を求める、3)投資先としての日本が海外投資家に理解されていない、4)若手における起業家精神・グローバル思考の低さ

1)    スタートアップのためのエコシステムを日本で構築するためのサポートが、日本政府に求められる:大企業によるスタートアップM&Aを促進するインセンティブ(優遇税制措置、各種株式制度の整備など)や、マッティングイベントの開催など、大企業の関心を高める制度の実施など

2)    スタートアップを積極的に思量する仕組み:米国には、連邦政府調達額の23%を中小企業から調達するという法制度が存在しており、日本も同様に、政府の大企業志向から中小企業の利用機会を増やすサポート体制を敷く必要がある

3)    海外投資家への日本市場のアピール:政府主導で海外企業/投資家を日本のスタートアップ市場へ呼び込むための施策が必要(e.g. シンガポール政府のマッチング制度、イスラエルのYOZMA、韓国のKVIC、ロシアのRUSNANORVC/スコルコボ開発プロジェクト、海外投資家むけカンファレンスやフォーラムの実施など)

4)    若い世代の起業家精神/グローバル意識の向上:教育機関主導による起業家支援プログラム、教育制度改革、政府助成金の充実といった投資の必要性(e.g. Stanford大学やCornell大学、MITなどでの各種プログラム)

議論、Q&Aセッション

Q1: ロシアのスコルコボ地域国家プロジェクトと同様のプロジェクトが中国にもあると聞いたことがあるが、それらは成功しているのか。

A1: 地域インフラを構築すると無駄にはならない。成功事例として、それがトレンドや文化となっていっている。


Q2: 日本でカメラ産業がまだ元気な理由は何か。

A2: 日本発技術としての水準の高さに加えて、海外マーケティング戦略を現地ベースで上手に展開していることが、成功の理由の1つだと思う。


Q3:学生として海外の成功事例をどのように学ぶことができるのか。

A3: 米国の大企業創始者も、学生時代に起業したケースは多い。学生の起業を考える際には、家族の理解を得ることが最初の仕事だろう。更に、イベントなどに参加して、同じ関心を持つ学生同士で意見交換したり、インキュベーターで情報を得たりするのもよいだろう。

     

Q4: リーンスタートアップモデルでは、開発途中で製品をリリースするが、完成度の高さが利点である日本製品にとっては、その手法は日本のよさを下げてしまうのではないか。

A4: リーンスタートアップモデルが現在海外で人気があるのは、企業寿命やサイクルが年々短縮されつつあることにもよる。限られた予算で製品を完全させたあとにユーザーフィードバックを得て修正を加えるよりも、開発過程で修正するほうがベター、という考え方。


Q5: 高い技術力と、実現したい価値の両方を持つビジネスが日本には少ないが、シリコンバレーでは双方をバランスよく持つビジネスが多い、ということなのか。

A5: 日本でそのように感じることはよくある。また、日本では、高い技術力を持つ人たちが存在しても、それを海外に効率的にアピールできていないと思う。技術力はあっても海外へのアピール力が欠けるという場合は、その部分を米国ベースでやってくれる人と恊働すればよい。


Q6: (日本企業が)ビジネスしやすい地域のランキングに関する情報があったが、どのような指標でランク付けしているのか。

A6: ビジネスのしやすさの指標は、具体的な手続き上の困難さ(銀行口座手続き、雇用のしやすさ、オフィスレンタルが容易に可能かどうかなど)を指している。


Q7: 優れた起業家の共通要素はなにか。

A7: 「夢と希望」を持っていること、成功に対する信念を持っていること。


Q8: 過去の失敗事例、失敗のリスクはなにか。

A8: 日本では、起業で失敗した場合、初期投資の返済義務が発生することが多いが(融資による起業が多い)、米国では投資による起業が通常のため、失敗はむしろ一つの経験値と見なされる。

 

Q9: 投資家の視点から、日本で有望と思われる産業はなにか。

A9: SNSなど既に既存のサービスを考えるのではなく、日常生活に近いものでまだないもの、を考えるとよいと思う。


Q10: 起業する際、最初からM&Aを目指すべきか、または持続的成長を目指すべきか。

A10: スタートする際には、将来的な成長を目指すべきかもしれないが、企業が成長するに従って投資家への責任の一貫として具体的なエグジッド戦略が必要となってくるのも1つの現実。


Q11: 例えば中東&アジアなど、サービスの対象となる地域市場によって、政治や宗教問題などの障壁はあり得るのか。

A11: 一般生活に関連するサービスに関しては、マーケティング戦略の中で注意すれば、政治や宗教の問題や影響は特に生じないと思う。


Q12: ビジネスアイディアを実現するための技術を持っていない場合、一度企業に就職してから起業するほうがよいのか。

A12: 起業に遅いということは決してないが、アイディアがあるのであれば、欠けている技術開発部分を他者から調達すればよい。中国やインド、東欧など、プロジェクト開発を請け負うビジネスはたくさんある。


Q13: ケミカル素材など、開発期間が比較的長期にわたる産業ではどうなのか。

A13: 今日の話に関しては、どのような産業分野でも同様のことがいえる。


Q14: 日本の大企業では、M&Aやスタートアップ投資は一般に高リスクと考えられがちだと思うが、米国企業ではどうなのか。

A14: IBMなど、米国の大企業ではM&Aやスタートアップ投資が高リスクとは考えていない。むしろ、必要な技術を獲得する手段として、自社による技術開発の予算を減らす代わりに、このような投資へリソースを使っている。


Q15: IBMの企業買収のやり方は非常に上手だと思うが、具体的な秘訣は何か。

A15: 企業買収の失敗の多くは、買収先企業のアイデンティティを無視した経営によるものが多い。米IBMはこれまで、買収先企業にIBMの企業文化を理解してもらうところから始めるようにしている。

 

Q16: 日本人のスタートアップがシリコンバレーエコサイクルの有効性を実証するためにシリコンバレーにくるようになると、シリコンバレーが繁盛するだけで日本でのサイクル構築に貢献できないような気がする。

A16: 米国で起業を目指すひともいれば、国内からスタートしたいひともいる。ただ、海外でのビジネス展開には勝手が分からない部分も多いので、まず国内での経験を積んで、そのあと海外市場進出を目指すというのが、1つのやり方だと思う。

<以上>


Anis Uzzamanさんの講義を聞いて

2013年3月5日

SVIFとのJoint Sminar

 

所属:九州大学 工学部地球環境工学科

氏名:学生 A

 

 アニスさんの講義は日本経済に再び活気をもたらすという内容で、日本の再生を考える私にとって非常に興味深いものだった。経済面で日本を元気にする方法について個人的に色々と模索していたが、アニスさんが言われたような具体的な方法は自力では思いつかなかった。お話の内容は全てにおいて興味深く、スピーチの前に、「日本語がお上手ですね!」と言った意味のない質問をして無駄な時間を過ごしてしまったことを今でも非常に後悔している。

 シリコンバレーでは年間4000ものベンチャー企業が生まれ、その中でもわずかな企業が成長し、やがては大企業に吸収されていくことを知った。時にはGoogleFacebookのような世界的に有名な企業も誕生し、毎日がイノベーションだということも知った。それに対し日本ではここ十数年で世界的に有名になった企業は生まれておらず、戦前から続く有名な大企業も昨今の不景気や新興国の台頭もあって世界的な勢力は衰えてきたようだ。私は日本に新たなビジネスが生まれないのはベンチャー企業が生まれにくい環境と政府の経済成長戦略の失敗にあると思う。日本では大学を卒業したら会社に就職してそのまま定年まで働くというのが一般的で、自ら起業しようと考える人は少ない。理由としては、起業を妨げる文化的背景もあるが、起業をしたくなるような環境が整えられていないことが挙げられる。それゆえベンチャー盛んでない日本には投資のお金はあまり流れず、新たなイノベーションも生まれない。

 講義の内容は刺激的で、大学卒業後は普通に就職するのだろうと考えていた自分に別の選択肢を与えてくれた。実際に起業することは確かに難しいかもしれないが、就職して社会に出た時もアニスさんが話された日本が衰退した理由とこれから元気になるための方法を頭に入れておくことで現在の負の流れを変え、正の方向に導くことができると思う。

 

所属:九州大学 工学部地球環境工学科 

氏名:学生 B

 今回のアニスさんの講演では、日本経済の問題点や、ベンチャーキャピタルの仕組みについての深い話が聞けて本当に良かったと思いました。

 現在のままでは日本経済はダメになってしまうということは、以前あった松尾所長のレクチャーで知っていましたが、それに対する具体的な解決策は聞くことができていませんでした。アニスさんは、日本には素晴らしい技術があるとおっしゃっていて下さり、その運用能力が低いことが現在の経済の低迷に繋がっているのだと言います。そして私も、実際そう思います。具体例として、ミクシィがフェイスブックにとって変わられた話などはとても興味深いものでした。日本はこれまでの、「開発した技術を無償で与える」というやり方から、「開発した技術を特許をとった上で与える」というやり方に変えなければ未来は暗いものとなってしまうでしょう。また、それを実現していくのは私たちの世代であり、日本の企業があるべき姿を誰もが納得できるような理由で説明できねばならないと思います。日本人の長所でもあり、短所でもある完璧主義を生かした上で、これからの日本を変えていきたいと考えます。

 また、ベンチャーキャピタルの仕組みについては、非常に面白いものでした。伸びそうな会社を判断することは、高度な確率論と長年の経験によって培われる直感力が必要となると思います。また、ベンチャーキャピタルのおかげで、今のグーグルやフェイスブックなどのシリコンバレー発のIT企業が存在することが分かりました。これからの技術者には、世界に進出する上において、高度な技術力だけではなく、経済の仕組みについての理解も求められるということを肌で感じることができて良かったです。アニスさんは工学系の出身ですが、最終的にはベンチャーキャピタルという技術職ではない仕事をなさっています。私もどちらかというと技術職というより、人とのコミュニケーションをとる仕事の方が向いていると思うので、幅広い知識を今のうちに身につけておいて、将来の選択に役立てたいと思いました。

 

所属:九州大学 工学部地球環境工学科 

氏名:学生 C

 

アニスさんの話は、約二時間と長かったですが、二時間ずっと集中して聴けるほど、面白い話でした。アニスさんのプレゼンは、今まで見た誰よりも上手でした。具体的にいうと、アニスさんは、何も資料など見ることもなく、私たち聴衆のほうをずっと見て話していましたが、これは、何度も講演をされている、というのもあるのでしょうが、本当に話したいことがあって、また、それが完全に身についていないとできるものではありません。また、時折ジョークもはさむなど、日本人並みの日本語のうまさでした。他にも、パワーポイントのスライドの要点のまとめ方が秀逸で、要点だけをきっちり抑え、かつ順序立てられていました。さらに、姿勢もしっかりしていて、動じることも、恥ずかしがる素振りなどは少しも見せていませんでした。おそらく今までに多くのプレゼンを、大きな場で行ってきたのでしょう。アニスさんのプレゼンのやり方ひとつとっても、数えきれないくらの収穫を得ることができました。もちろんプレゼンの中身についても、今まで知らなかった情報が数多く含まれており、それらを聞いていると、起業しないと居ても立っても居られない様な気持ちになってきます。日本がどれだけ、シリコンバレーに比べて仕組みや法律、起業の活性化についてのとりくみについて遅れているのか、経済が後退し続けていて元気がないのかがひしひしと伝わってきました。このようなことは、日本のメディアからは情報を入手することが難しいです。TVでもこのようなことは伝えられていません。日本の外から日本を見ることによって、はじめてそれに気づくことができ、自分の問題は何なのか分かる。このことに私はようやく気づかされました。自分の国についてのことなのに、自分の国にいては分からない。外に出なければ、何も知ることはできない。また一つ、これからの人生をもっともっと元気にできるような概念を手に入れることができました。本当にアニスさんの話を聞けて、ELEPに参加できて良かったと思いました。そんな講義でした。

 

所属:九州大学 工学部機械航空工学科 

氏名: 学生 D

 

 今回のウッザマン氏の講演は私にとってとても衝撃的なものでした。というのも、これまで日本経済が低迷していることや、グローバル社会に適応しきれていないこと、他国の企業から様々な分野で抜かれていることは聞いていたものの、誰も具体的な解決策などには触れずにいたからです。しかしウッザマン氏の講演の中身は、具体的数値による現在の日本企業の状況把握から始まり、さらには実例やデータをふんだんに使って日本が立ち直るには今何をすべきなのか、ということを明確に示されていました。

 講演を聴いている中で、私が最も日本経済の低迷の原因となっているなと感じたのは、大企業の先見性の低さと、政府の不関与です。日本の大企業の多くは、戦後の経済成長のときから体質や方針が大きく変わっておらず、今の社会状況にあった経営をできていないように感じます。それが最も表れているのが、大企業の投資分野選択の誤りと、国内・海外マーケットに対する投資比率です。もちろん断片的な知識でしかありませんが、現在日本を追い抜いて行っている他国の企業と比べると、大きな間違いをしているように感じました。日本政府に関しては、国内の経済再生には積極的なのは当然ですが、自国の経済がもはや国内だけでなく世界情勢によって大きく変わる時代であるにもかかわらず、視点が国内だけを向いているように感じます。まず国内の企業に対してM&Aやイノベーションを起こせる土壌を整備して、さらに海外の投資家たちが日本の企業がどういったものなのかを知るためにも、政府が国内の情報を発信することが重要であると思います。

 アメリカの企業の精神で、私が日本にも取り入れるべきだと思うのは「買収・合併は終わりではなく、新たな始まりである。」というものです。この言葉は今回アメリカに来てから初めて聞いた言葉ですが、私は大きな衝撃を受けました。というのも日本では買収されるというのは、どうしても経営が上手くいかなくなった故の最後の手段というネガティブなイメージが強いからです。しかし大企業からしてみると、新たな事業を始めるときに0から始めるより、それに秀でた中小企業を買収する方が早いですし、中小企業からしてみると大企業に買収されることによって経営面の心配も軽減し、さらに優れた環境で研究もでき、実に合理的だと思いました。もちろんアメリカでもすべてのケースがこのように順調に行くものではないと思いますが、買収に対してポジティブなイメージを持つことによってイノベーションは起きやすくなり、日本企業の活性化につながると思います。

 今回の講演を受けて、日本はまだまだイノベ-ションに対して海外に遅れているなと感じました。しかし日本の技術は決して低くはないので、これからまた日本企業が活発になってまた世界一の技術大国になると思いました。

 

所属:九州大学 工学部機械航空工学科 

氏名:学生 E

 

今回のご講演を聞かせていただき、日本がイノベーションを起こす必要があるということを実感しました。初めにおっしゃられていた日本企業の欧米的手法導入の必要性については私もその必要があると以前から思っていました。日本が今の体制でかつての成功と発展が得られたということは尊重すべきことであるけれども、今の業績を見てみれば悪くなっていてかつての企業体質のままではこの先も成功し続けていくことは難しいと感じていました。欧米の手法は自社で新しい技術や製品を0から開発するのではなく、その技術なりをもう育て始めている小さな企業をMAで取り込んでしまい開発を進めるというものですが、このM&Aという部分が日本にとって非常に難しい克服すべき、そして見習うべき手法なのだと感じました。私は日本の企業の主な体質として劇的な変化を望まない、そして自分で起業した会社を人に譲りたくないというお互い反発し合うような体質を持っていると思います。またM&Aという行為をなんとなく良くないイメージで捉えていると思います。日本企業がM&Aをするニュースが続いた時のマスメディアの反応や身近な人の反応を鑑みるとやはりM&Aに対してなんとなくネガティブな印象を持っているのが分かりました。これらの体質を改善していくためには私はやはり新しいものを受け入れる姿勢と、企業を手放すということの場合によっての意味を考えることのできる力を養うような周知教育体制が必要だと思いました。そのためにはやはり国が動き始めなければならないし、動かないなら自分たちが国に動くように要請し、行動していくことが必要なのだなと感じました。

一方で日本のものの売り方というものも改善していかなければならないことの一つだと感じました。売り方に関する日本の変えていくべき点は2点です。ひとつはマーケティング、もう一つはアピールだと考えます。ものを売るからには買い手というものを当然想定しなければなりません。海外に売り込みたいならその現地の人の生活に寄り添うようなものであり、それでいて必要最低限の機能があり、さらに独自の視点による新しい機能をもったものが爆発的に売れていくのだと思います。それを行ったのがWall-MartでありSAMSUNGであるのだというお話を聞けて大変納得しました。海外のエキスパートをつくる、海外の反感を買わないように現地の方法に則った展開をしていく。これらがやはり大切なのだなと感じました。

 それに加えて、今の新しく生まれてくる企業や製品の寿命が短くなっているというお話も自分の心に留めておかなければならないと思いました。今の社会では速さが命になります。アイディアをいかに迅速に具現化するかということが極めて重要なポイントことに気をつけなければならないと思いました。しかし何よりもまず自分がアイディアと明確な目標を持っていなければなりません。しかし私はアイディアを実行に移す具現力というものがない場合は諦めなくてはならないのではないかと考えていました。しかし、今は技術を提供してくれる機関も存在することを知り非常に面白く感じ、同時に大きな希望を見たように思いました。今必要なことは画期的なアイディアと実行したいという気持ち、そして明確な目標という土台があればだれでもイノベーションを起こすことのできる環境が広がっているということに気がつくことができました。

 これらのお話をもとに自分も問題意識を持ち、かつ起業家精神を養っていこうと思いました。

 

所属:九州大学 工学部機械航空工学科

氏名:学生 F

 

 日本人でないのに,日本のことをこれほど考えてくれる人がいるのかと,アニスさんのお話をお聴きして思いました.アニスさんのほうが日本人である私の何百倍も,日本をよく知っていると感じました.

 日本に活気がないことは多くの人が気づいています.しかしそれがなぜなのか,どうすれば元気になるのか,積極的に考えようとする人はなかなかいません.たとえ考えても,行動に移す人はとても少ないと感じます.

 お話の中で,日本経済が衰退している原因のひとつとして企業の設立年代が古いことが挙げられ,ただ設立年代が古いことが原因なのではなく,年功序列や固定給与,終身雇用などの古い体制,昔からの慣わしを変えようとしないことが原因であるとおっしゃられていましたが,そのとおりだと思います.もっと成功企業に学び,合併や吸収によって中身を新しくしていくべきです.シリコンバレーのテクノロジーを常に生むシステムを取り入れれば,Made in Japanのきめ細やかで丁寧な取り組みが,より深く世界中に広がるのではないでしょうか.世の中の変化サイクルがとても短い今こそ,Made in Japanの良さが重要になってくると思います.

 また,海外の投資家が日本をみていないことは大問題です.若いわたしたちが,日本を引っ張っていかなければならないと感じました.新しいものを生み出すとき,生活に便利なものを作りたいのはもちろんですが,人間を堕落させるものではなく,質を高めるものをつくりたいと思います.


以上

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