「ソーラー無限のチャンス!」

トニー・ゼバ著・SVIF有志訳
 
この本はスタンフォードのエネルギー関連の講師Tony Sebaが書いた本で、太陽エネルギーの素晴らしさをマクロとミクロな視点から描いた貴重な本です。2009年にシリコンバレーで開かれたKeizai Societyのセミナーで彼の講演があり、私はそれを聞いて感動してすぐに翻訳をさせてくれと著者に申し込み、快諾されました。ぜひ多くの日本人に読んでもらいたいと熱望しています。1人ではこんな大仕事は出来ないと思ったので、SVIF(Silicon Valley Innovation Forum)と言うシリコンバレーの日本人勉強会の有志に相談し、10人のボランティアの方々に各章を翻訳していただきました。それを私が2年かかりで翻訳のチェック、言葉の統一を行いました。合計3年の月日と10人の皆さんの汗と努力が詰まった本です。ボランティアの皆さんの名前は最後のほうにリストしてあります。
この3月(2013年)にやっと仕上がり、3月21日のKeizai Societyセミナーで公表するにいたりました。著者と相談した結果、多くの皆さんに読んでいただくことが一番大事だということになり、下記のURLからGoogleで無料で読めるようにしました。
この本はエネルギー問題をマクロとミクロな視点から記述した貴重な本だと申しました。Tony Sebaさんの調査力、記述力、高度な解析力、そしてある局面では極めてマクロな視点から書き、ある局面では細かい数字を並べると言う両面作戦で、人類がなぜ太陽エネルギーをもっと利用しないのかということを繰り返し述べています。「今地球上にあるエネルギーのインフラは14テラワットである。2050年には節約を含めて30テラワットが必要である。この差を何で埋めるのか。」そして可能なエネルギーを一つ一つ、クリーンさ、経済性、拡張可能性の3点からからミクロに検討してゆきます。「風力はせいぜい2テラワット、そのほかの自然エネルギーの可能な能力は極めて少ない。」そして、「原発は1千基で1テラワット、10テラワットを埋めるのには1万基必要、そんなに多くの原発を地球上に作るのか」、「太陽からは12万テラワットという莫大なエネルギーが降り注いでいるのにそれをなぜもっと利用しないのか。」と言う話を聞いて私は愕然としました。こんなマクロな明快な解析はこれまで聞いたことがなかったからです。クリーンで安価で拡張可能なエネルギーは太陽エネルギーしかないのだということがいやと言うほどわかります。
それに加えて、化石燃料エネルギーがいかに「ただ乗り」をしているか、を記述しています。表には出ていないが、通常の500メガワットの発電所からは年間に200万トンの炭酸ガス、13万トンの燃焼廃棄物、19万トンの汚泥、1万トンの窒素酸化物、43Kgの水銀、57Kgの砒素が出ているという。それにこの産業は処理費用を払っているのか、と言う問題提起をしています。それはどこにも行くところがなく地球上に蓄積されている、などというミクロな数字を聞くとこれまた愕然とするのです。
日本では今や今後のエネルギー戦略をどうするかを決めねばならない時に来ていますが、どうも議論のポイントが感情的であったり、日本の経済力の問題に限られていて、本質的な人類の基本に帰る議論にはなっていないように思います。ドイツはひとつの原発が大きな事故を起したら大体いくらかかるかを計算してみたら770兆円という数字が出た。これはドイツのGDP350兆円の2倍以上になる。こんな危険を冒しても原発をやる意味があるかという議論となり、やめることとなったといいます。2022年までにすべての原発を止めると言う決断をしています。こういう議論はなぜ日本では出てこないのだろう。だからこの本を多くの人が読む必要があると思った次第です。
ぜひ少なくとも日本語への序文と第1、2章を読んでください。そして多くの皆さんにこれを広げてください。
よろしくお願いします。
松尾正人
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