2008年9月 森 一郎氏

2008年9月度 月例講演会報告

「目からうろこの世界医薬品ビジネスの実情ー日本の中小製薬企業の挑戦」

森一郎氏〔もりいちろう〕

Chairman, JPMA-WEST(米国西海岸日本製薬関連企業連盟)

日時 2008年9月25日(木)

JPMA-WEST米国西海岸日本製薬関連企業連盟の森一郎氏に講演いただきました。40名の方がご参加され、講演後もいろいろな問い合わせや反響をいただきました。

概略:

わが国の産業形態は車などの一部を例外として、携帯電話機のガラパゴス島現象とも揶揄されるように、孤立したマーケットで独自の競争と進化を営むことが多い。総人口規模の頭打ちを含め、この閉ざされた市場規模がマクロ的には拡大することはありえず、GDP値がこの10-15年において、総額では微増であっても、個人あたりで世界18位と低下してきたことは当然の結果といえよう。ビジネスをグローバルに展開する必要性は言うは易く、現実にはハードルが高いというのが日本の産業界一般の現状なのだ。

製薬業界においては20年以上前から、グローバルビジネスが大手企業として生き延びる上で常識となっている。日本の製薬会社もその影響下にあり、この5年ほどで少なくとも上位4社は虎の子の内部保留資金を投げ打って、グローバルビジネスに参加しつつある。この戦場における重要な武器としては、処方せん薬の開発であり、年商500億円以上の規模を持つ有力新薬(グローバルな特許に守られ、15年ほど市場を独占できるもの)を複数保持することが必須となる。このような明らかに高いハードルに10年前から果敢に挑戦し、見事に欧米で足場を築いた日本の中小製薬会社がこのベイエリアに存在するのである。

演者略歴:

1957年愛媛県生まれ、1981年神戸大学卒、ミドリ十字(現田辺三菱製薬)を経て、1993年より渡米Alpha Therapeutic社(Los Angeles)入社。 1997年San JoseにてTeikoku Pharma USAの設立に関与。 1999年Lidoderm Patchが米国FDAで初めて経皮吸収パッチとして処方薬認可を受ける。 2007年UKで承認後、EU8カ国でも同剤が承認を受ける。 Lidoderm Patchを米国で年商1000億円規模へ育て上げる。これら日本由来の経皮吸収パッチの世界展開を海外各社との交渉で成功に導く。 2005年と2008年2度JPMA-WEST(米国西海岸日本製薬関連企業連盟)の会長職を歴任。

プレゼンテーションの内容は以下の添付からご覧ください。

SVMF09-25-08.pdf