2008年12月 八木 博氏

2008年12月度 月例講演会報告

「米国大企業で事業開発の革新が起こっている」

- Web2.0あるいはSocialは大企業のビジネスをどのように革新してきたか -

八木 博氏〔やぎひろし〕

IMAnet, Inc. CEO

日時 2008年12月11日(木)

今回は、SVMF例会の本年の締めくくりとして、米国大企業の事業開発の革新をテーマにSVMF会長の八木博より話しをさせていただきました。

概略:

シリコンバレーでは、GoogleやAppleあるいはYahooの話題で毎日のニュースがにぎわっていますが、米国の東海岸を中心とする大手企業も、従来の仕事のやり方にシリコンバレー流手法を積極的に取り入れてきて、しっかりと成果を上げてきています。たとえば、IBMは旧来の大企業という殻を脱ぎ捨てながら次々と新しい事業展開をしています。州政府や大学、関連業界を巻き込んで、NY州にある半導体試作工場をナノテク研究所に仕上げています。そこで生み出されたものは、世界最速のスーパーコンピュータ、ナノサイズのチップ製造技術、そしてIBM研究所のナノテク研究との連携など。それから、Open Sourceに対しても、大企業の立場から積極的に支援し、ApacheというWebサーバーのSoftwareを作る(非営利)グループを支援しながら、法律的な部分でアドバイスを加え、IBM自身のサーバー販売も伸ばすことに成功しています。東海岸の大企業は、埋もれた特許を売り出すことで、自社のIP資産を強化しています。別の東海岸の複数の大企業は、社内の開発テーマに対して、それを公開して外部からの知恵を積極的に活用しています。この基本的な考え方は、20世紀末のIT導入から、それを強固に発展させてきた形になっています。

今回は、このIT技術利用の実態と、それをいかにして新事業展開へとつないでいるかをまとめてお話しました。日本企業の新規事業開発や研究テーマ開拓の支援になれば幸いと思います。

プレンゼンテーションの内容はここをご覧ください。

演者略歴:

八木 博 IMAnet, Inc. CEO

シリコンバレー在住12年(在米14年)

元三菱化学機能化学品GM、元 Verbatim Corporation新規事業開発部長

MO(光磁気ディスク)をIBMと共同で開発し、1990年世界で初めて市場に出す。1995年から米国Verbatim社へ出向しMO、CD-R、DVD-R各メディア販売を推進。

現在、三菱化学の光ディスクビジネスはDVR-Rの販売数量で世界一(2007年実績)

2001年に三菱化学を退社後、同年IMAnet社設立。

同社は、新規事業開発支援、研究、事業提携支援、企業内価値創造のコンサルティング等を行っている。

SVMF200812.pdf