2014年3月 吉川 欣也氏
2014年3月 九州大学・早稲田大学学生との合同講演会報告
「吉川欣也氏(Miselu Inc)のシリコンバレーでの起業人生」
講師 : 吉川欣也 氏
日時 : 2014年3月4日(火)
略歴 : SVJENホームページより
1990年法政大学法学部法律学科卒。日本インベストメント・ファイナンス株式会社 (現エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ株式会社)、ニューメディ ア専門のシンクタンク株式会社プロトコルを経て、1995年8月に株式会社デジタル・マジック・ラボ(DML)を設立。コンパック、FedEX、ファミ リーマートなど大手企業のWEB構築を手がける。
DMLの社長・会長を歴任し2001年7月退社。1999年9月に米国・San Jose,CAに設立したIP Infusion Inc. (次世代ネットワークソフトウエア開発) のCo-founder and VicePresidentを務め、2005年に同社を$50MでAccess社に売却。その後、2008年4月にMiselu Incを Mountain View, CAに設立。
「起業家は勝手に起業する。起業家は育成するものじゃない」現在3回目の起業にチャレンジしている吉川氏はそう言い切る。シリコンバレーに来たきっかけは 単純で「ハイテクメジャーリーグのシリコンバレーに憧れて」だった。現地のコネクションが殆どなかった吉川氏であるが、IP Infusionという会社を立ち上げ、日本にあるネットワークを最大限に活用し、米国投資家から$20.4Millionの資金調達に成功した。シリコ ンバレー流ビジネス経営を徹底し、経営陣は共同創立者であった石黒氏以外は全員non-Japaneseで固めた。経営陣が日本人である利点をあまり感じ なかったからだ。
1999年、シリコンバレーにIP Infusionを設立してから、寝る間も惜しんで働いた。シリコンバレーで起業する日本人の苦労が何か?など感じ取る暇もなかった。それから6年後に同 社をACCESSに$50Millionで売却することになるが、この成功の陰には創業以来のメンターであったIT-FARMの黒崎氏とATA Venturesの藤村氏という二人の大きな存在があった。「ベンチャー経営は、スポーツと同じです。どんなに優れている選手がいても、アドバイスをくれ るコーチがいなければ一流選手にはなれない」。これは吉川氏自身の言葉だが、シリコンバレーでの経験がなかった吉川氏を、この二人のコーチが成功に導いて くれたのだ。
売却後も2年間はACCESSに留まった。創立者として、売却先にシームレスに引き継ぎをするという重要な使命があったからだ。「会社を売却する前 後は、色々な意味で動揺が生じるし、相手にも会社の問題点がより明確に見えてくる。そういったところをきっちり整理するのが創立者の仕事」と吉川氏は語 る。だが一方で、起業することに自分の価値を見出している吉川氏にとって、新しいビジネスを始めたいと考えるのは自然であり、当然のことであった。
その新しいチャレンジが3回目の起業となるMiselu Inc.である。一体何をする会社なのか、ドクロマークのロゴだけが載っているサイトを見ても分からない。「カラオケ関連ビジネス」という話は聞いていたが、それはただの噂なのだろうか。
講演内容:
吉川氏はシリコンバレーの日本人の中で数少ない起業家であり、しかも成功したシリアル起業家である。1999年にIP Infusion社を立ち上げて2005年にAccess社に売却、その後2008年にMiseluを立ち上げ、2012年に日本の産業革新機構から資金援助を受けて鋭意製品を開発中である。今回は吉川さんのこれまでの歴史を紐解いてもらい、原点に立ち返って、なぜ起業したいと思ったのか、起業の種はどのようにして見つけたのか、なぜシリコンバレーで起業したのか、資金はどのようにした集めたのか、何に苦労したのか、成功のキイは何か、これから起業する人へのアドバイス、そしてあたらしく起業したMiseluは何をする会社なのか、など具体的な起業家としての人生そのものについてお話いただいた。当日は九州大学と早稲田大学の混成グループ学生が25人参加した。