2016年3月 伊佐山 元氏

SVIF/九州大学・早稲田大学合同講演会」報告

講演題目:「日本にイノベーションを起こすには何をすべきか」

講演者: 伊佐山 元氏、CEO, World Innovation Lab, WiL

日時:2016年3月2日(水)

伊佐山氏は東京大学卒業後、日本興業銀行に入社、2001年にスタンフォード大ビジネススクールに留学、卒業後シリコンバレーの大手ベンチャーキャピタルDCM 社のパートナーとして10年間スタートアップへの投資・支援を担当して来られた方です。

伊佐山氏はその間、日本発のベンチャーが少ないことを憂慮し、2013年にDCM 社を辞め投資会社WiL 社(World Innovation Lab) を立ち上げ、その解決に乗り出しました。伊佐山氏の呼びかけに共感した日本の大企業10社ほどが資金を供出し、400 億円に上る資金を伊佐山氏に託したというわけです。伊佐山氏はそれを使って大企業にある新事業の種を見つけ、シリコンバレーで育てて、それを大企業に返して大きくしようと考えているようです。「大企業からは新事業が生まれない」ことが問題になっているが、「大企業でないと大きな事業にならない」とも言われています。WiLの動きはこの矛盾を解決する優れたアイデアといえます。戦後長い間の成功経験から抜け出せないでいる日本の大企業がどこまでこれに反応できるのかが強く問われているといえます。WiLは最近、経済産業省の委託事業「始動Next Innovator 2015」プロジェクトの担当も引き受け、日本企業の新事業担当者の教育も始めました。これに加えて安倍晋三首相の「シリコンバレーと日本の架け橋プロジェクト」にも関わり、大きな期待がかけられているといえます。

今回のSVIFは九州大学/早稲田大学合同講演会として毎年行ってきたもので、今年で8回目の企画になりました。