2018年3月 坪田 駆氏

講演題目:ドイツ企業がシリコン・バレーで学んだ本当に大事なこと

開催日時:2018年03月9日(金)

講師:SAP America, Inc. 坪田駆(かける)氏

講師略歴:

シリコンバレーにて日本企業との新規事業共創を推進するビジネスディベロップメントに従事。シリコンバレー最大のアウトサイダーとして4,000名の従業員を抱えるSAP Labsの一員であり、老舗デジタル企業がシリコンバレーのエコシステムを活用し自己変革に成功した経験を説くデザイン思考のエバンジェリスト。年間1,400名を超える日本企業のリーダーに、デザイン思考を活用した企業の事業変革を啓蒙する。

まとめ:

今回のSVIFでは、ドイツの老舗企業SAPにて日本企業との新規事業創成を推進し、デザイン思考のエバンジェリストでもある坪田氏をお招きし、日本とコンテキストの似ているドイツの大企業がいかにして変革を仕組み化し、6年で売上を約2倍にしたのかをご講演いただきました。2倍にした売上の内、6割が新規事業によるもので、この背景にはSAP変革の3つの鍵があるとのことでした。3つの鍵の内1つ目はPeople、つまり多様性です。多様性といっても国籍だけではなく、性別や年齢も含まれます。SAPのCOOとCTOは30歳代であり、女性の比率は35%で、比率は増加しているようです。2つ目は、Placeです。母国ドイツを離れ、シリコン・バレーに出島を築き、既存事業を社長がドイツで担当し、新規事業を会長がシリコン・バレーで担当したとのことでした。3つ目はProcessです。これは考え方のフレームワークのようで、デザイン思考が使用されているとのことでした。デザイン思考はイノベーションを起こすためのマニュアルで、シリコン・バレーでは大企業、スタートアップ共によく使用される方法論です。デザイン思考のプロセスは、①共感,、② 解くべき問題の選定、 ③アイデア出し、④プロトタイプ、 ⑤テストがあり、③でTechnology Feasibility(技術的に可能か)× Business Viability (儲かるか)× Human Desirability(人が欲しがるか)を基に考えたアイデアから④最低限動くプロダクトを作り、⑤安く、早く、安価に失敗を重ね学んでいきます。実際にSAPでは3カ月で①から⑤のサイクルを回すようです。シリコン・バレーでは失敗は発明であり、機会を逃すことが本当の失敗であると言われますが、SAPに限らず、様々な企業がこのデザイン思考を半ば無意識で利用していると思います。

これがシリコン・バレーから数々のイノベイティブな企業が生まれてくる秘訣の1つなのではないかと思います。