2024年6月 講演イベント
日米の先端研究から考える、 日本のイノベーションへの処方箋
SVIF6月講演会では、早稲田大学ビジネススクール准教授の牧兼充氏をお招きしました。
これまで手掛けられた研究プロジェクトのお話から、この春シリコンバレーで新たに情報収集された事柄、日本のイノベーションがどうあるべきかについての知見など、多岐にわたるお話を伺いました。
【講師、牧兼充氏からのメッセージ】------------------
日本のイノベーション・エコシステムは米国の20年遅れている、と言われることが少なくありません。現在私は、早稲田大学ビジネススクールで教える傍らで、経済産業省産業構造審議会イノベーション小委員会委員、内閣官房「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」構成員、経団連「Science to Startup Task Force」メンバー、文部科学省「我が国における戦略的な調査分析機能の在り方についての勉強会」委員などの会議体に参加し、日本のイノベーション政策の策定に関わっています。特に、アカデミアから得られた知見の社会実装 (エコシステムの構築の実務に反映させていくこと)を重視しています。
早稲田大学ビジネススクールのサバティカル期間を利用して、私は現在スタンフォード大学スタンフォー大学 社会・環境工学科客員准教授 として、スタンフォード大学のイノベーションに関する研究プロジェクトに関わったり、関連する授業を聴講しています。私は、8年前にもスタンフォード大学に所属して研究をしていたのですが、この8年間でその研究のトレンドも大きく変化したように感じています。特に、いわゆる「アントレプレナーシップ教育」がどちらかというと、「古典的な基礎科目」として位置付けられるようになり、よりディープテック・社会課題と連動した新事業創造や、個人や組織がイノベーションを推進していくための能力を向上させていくような領域が強くなっていると感じています。
このセッションでは、前半に、私が携わってきた日本のイノベーション政策に関する活動や、研究成果をどのように社会実装に繋げてきたについての舞台裏をお話ししようと思います。後半では、私がスタンフォード大学滞在中に観察してきた先端研究についてお話しし、日本のイノベーション・エコシステムの発展のために必要なことは何か、皆様と一緒に議論したいと思っています。
スタートアップの方も、大企業でオープンイノベーションを担当する方も、エンジニアの方も、政策策定に携わる方も、多様なバックグラウンドの方が楽しんでいただけるような内容にしたいと考えています。
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【開催日時】
2024年6月7日(金) 17:30-20:30 (US Pacific Time)
【開催場所】
Plug and Play Tech Center (in-person)
440 N Wolfe Rd, Sunnyvale, CA 94085
【例会次第】
17:30 開場、受付開始
18:00 - 18:05 SVIFご挨拶、講師ご紹介
18:05 - 19:30 ご講演、ディスカッション、質疑応答など
19:30 - 20:30 ネットワーキング
【登壇者】
牧 兼充氏
スタンフォード大学 社会・環境工学科客員准教授 (早稲田大学ビジネススクールサバティカル中)
2000年慶應義塾大学環境情報学部卒業。02年同大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。15年カリフォルニア大学サンディエゴ校にて、博士(経営学)を取得。慶應義塾大学助教・助手、カリフォルニア大学サンディエゴ校講師、スタンフォード大学リサーチアソシエイト、政策研究大学院大学助教授などを経て、17年より早稲田大学ビジネススクール准教授。
カリフォルニア大学サンディエゴ校ビジネススクール客員准教授、慶應義塾大学理工学部訪問准教授、慶應義塾大学大学院医学研究科講師(非常勤)、高知大学客員教授等を歴任。日米の大学において理工・医学分野での人材育成、大学を中心としたエコシステムの創生に携わる。
専門は、技術経営、アントレプレナーシップ、イノベーション、科学技術政策など。
経済産業省産業構造審議会イノベーション小委員会委員、内閣官房「創薬力の向上により国民に最新の医薬品を迅速に届けるための構想会議」構成員、経団連「Science to Startup Task Force」メンバー、文部科学省「我が国における戦略的な調査分析機能の在り方についての勉強会」委員などに参画し、日本のイノベーション政策に深く関わる。
近著に『イノベーターのためのサイエンスとテクノロジーの経営学』(単著、東洋経済新報社)、『科学的思考トレーニング 意思決定力が飛躍的にアップする25問』 (単著、PHPビジネス新書) 、『「失敗のマネジメント」がイノベーションを生む』(『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』2020年3月号掲載)、『未来を創造するスタンフォードのマインドセット イノベーション&社会変革の新実装』 (共著、朝日新聞出版)、『東アジアのイノベーション』(共著、作品社)、『グローバル化、デジタル化で教育、社会は変わる』(共著、東信堂)などがある。
【共催組織について】
JTPA (Japan Technology Professional Association)
JTPAは技術を志向する日本人プロフェッショナルがシリコンバレーで働くのを支援するためのNPO。シリコンバレーで働く日本人プロフェッショナルのネットワークを構築するのに加え、日本にいる若手技術系の方々に対してシリコンバレーに関する啓蒙活動を実施。
ウェブサイト: http://www.jtpa.org/
Plug and Play Tech Center
スタートアップ、大手企業、投資家をつなぎ、世界中のイノベーションを加速させることをミッションとして掲げ、2006年にシリコンバレーで創業。現在、世界18カ国40拠点以上にて事業展開しており、ベンチャーキャピタルとしてDropboxやPaypal、Lending Club、FiscalNoteなど35社以上のユニコーン企業を輩出。
ウェブサイト:https://www.plugandplaytechcenter.com/
SVIF(Silicon Valley Innovation Forum)
シリコンバレーの地で活躍する日本人ビジネスマンの自発的な勉強会の場として1994年に設立された、非営利コミュニティ。シリコンバレーのイノベーションに焦点を当て、会員個々人のための勉強及び情報交換、交流の場として活動している。会員相互の協力の下、日本及び日本企業に対する情報発信や支援まで視野に入れて活動を展開。
ウェブサイト: https://www.svinnovationforum.org/